「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に平均5回以上または、 一晩(7時間)の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群は中枢性、閉塞性、混合性に分類します。
その中で歯科での治療の対象は主に閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。
交通事故や労働災害の発生 |
↑ |
注意力・認知力・記憶力の障害 |
↑ |
不眠や日中における過剰な眠気の発生 |
↑↑ |
睡眠中の無呼吸による中途覚醒反応 |
↓↓ |
動脈血酸素飽和度(SpO2)の著しい低下 |
↓ |
血圧上昇(高血圧)・不整脈の合併・動脈硬化の促進 |
↓ |
突然死などの生命の危険 |
「重症のSASを放置しておいたら、9年後には4割の方が心疾患や脳卒中、交通事故などで亡くなっている」という驚くべきデータも報告されています。
1. 覚醒時の症候として |
2. 睡眠時の症候として |
3.合併症 |
a. 昼間の耐え難い眠気・ |
a. いびき |
1.多血症 |
b. 起床時の頭痛・頭重感 |
b. 異常体動 |
2.高血圧 |
c. 性欲低下・インポテンツ |
c. 不眠・中途覚醒 |
3.不整脈 |
d. 性格変化・抑うつ状態 |
d. 夜間頻尿 |
4.虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞) |
5.脳血管障害 |
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6.糖尿病 |
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7.肺高血圧症 |
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8.突然死 |
閉塞性無呼吸症候群は男性と肥満度の高い人に多く見らます。特に欧米では原因の大半が肥満です。
しかし日本人では独特の頭蓋顎顔面形態の特徴(縦長の顔、小さな下顎)があり、肥満でなくても閉塞性無呼吸症候群となります。
医科医療機関で行う事になっています。
1時間当たりの無呼吸および低呼吸の回数をApnea Hypopnea Index(AHI)といいます。
正常 |
<5 |
軽症 |
5≦、<15 |
中等度 |
15≦、<30 |
重症 |
≦30 |
※AHIが40以上、または20以上でCPAP治療となるのは、あくまでも保険診療によるものであり、これに限りません。
平成16年度より歯科社会保険に認められたのが「口腔内装置治療」です。
この治療法は、睡眠時無呼吸症候群と診断がついて、スリープスプリントが必要と認められた場合に歯科医師が治療にあたります。
空気の通りが悪い:肥満も含め鼻から気管までの様々な障害がある場合。
歯の状態が悪い:欠損歯が多い、高度の歯周病、多数の虫歯、歯並びの異常
顎の動きが悪い:顎関節症等の運動制限のある場合等。
装置治療に抵抗を示す場合。
装置を入れた直後に出る症状(一時的で大半治療継続可能)
①大量のよだれが出る。
②一時的に歯が痛む(締めつけ感)、かみ合わせのずれた感覚がある。
③顎の異常な感覚(一時的で朝食後消失する程度)。
④口が乾く。
治療中に出てくる症状:治療の中断や中止が必要
①明らかな顎関節の異常。
②重度の咬合異常(咬み合わせのずれ)等。
心臓病、高血圧や糖尿病の場合、患者さんは定期的にかかりつけ医師に通院します。薬が無いとすぐに症状が出てくるためです。
睡眠時無呼吸症候群は自覚症状を持たない方がおられ、装置を入れてしまえば終わりと考えられがちです。
しかし、装置の不都合、歯や顎の状態の変化など使用中には様々変化があり、定期的に通院する習慣をつけて下さい。
睡眠時ブラキシズムは、国際睡眠関連疾患分類で睡眠関連運動異常症に分類され、「過度の覚醒活動に関連する睡眠中の歯のグラインディングまたはクレンチングを特徴とする口腔異常機能」と定義されています。
睡眠時ブラキシズムの発生率は、小児で10~20%、成人では約5~8%、高齢者で2~3%と加齢とともに減少し、大きな性差はないことが報告されています。
睡眠時ブラキシズムの大半が浅いノンレム睡眠時に発生することが分かっています。
顎関節のクリック(復位性関節円板転位)と睡眠時ブラキシズムの関連性が報告されています。
治療にはスタビリゼーション型スプリントを用いたスプリント療法が、短期的にブラキシズムを抑制することが報告されています。ただし、全ての患者に対して有効であるわけではないこと、また有効であってもこれらの効果は短期的なものであり、長期間スプリントを使用しているとブラキシズム・レベルは元に戻ることが示されています。
しかし、スプリントには歯や歯冠修復物をブラキシズムから保護することができるという利点があり、スプリントによって睡眠中に生じる顎関節への負荷を軽減できる可能性もあります。
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