「かみあわせの悪さ」は、顎関節症を引き起こすうえでそれほど影響がありません。
最新の報告では、1日の中で上下の歯が接触する時間は17.5分とされています。
そして、1日に20分以上、上下の歯を接触させてしまう癖をTCHといいます。
TCHは「ギューッ」とくいしばるのとは異なり、一番強く噛みしめた時の力の70~80%より少ない力で歯をあててしまう癖をいいます。
痛みをもって来院された顎関節症患者さんの70~80%の方がTCHを持っています。
また、心理的要因を持っているとTCHが増加するという報告もあります。
また、TCHを直すことで顎関節症が早期に改善します。
※顎関節症の治療はTCHの是正のみではありません。
もちろん食事のときに食べにくいほど咬み合わせが悪ければ 咬み合わせの改善が必要になります。
TCHがある方は、頬粘膜の圧痕(ホッペの内側のスジ)があったり、舌の縁がガタガタしていますので、ご自分でチェックしてみてください。
かみ合わせを気にしすぎたり、新しく入れ歯を入れたことが引き金になったり、ポカーンと口をあいていることを注意されたことが原因であったり、ストレスによるものなど、きっかけは様々です。
TCHが原因で、アゴの痛みや肩こり、頭痛(筋緊張性頭痛)や非歯原性歯痛(原因不明の歯の痛み)や入れ歯の痛みがおきる場合があります。
アゴがガクガクして口を閉じていられない、長い時間口を大きく開けていられない、歯並びが悪くなってきた、舌が痛い等の症状が出る場合もあります。
また、歯周病(歯槽膿漏)も悪化します。
咬合違和感(どこで咬んだらよいかわからない、咬み合わせがおかしい)などの症状を引き起こしてしまうこともあります。
起きている時のTCHは自分で気を付けられることもありますが、ご自身で改善するのはなかなか難しいため専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
また、寝ている時に噛みしめている場合があります。
寝ている時の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)には、「ギリギリ」と音がするグラインディング、「カチカチ」と音がするタッピング、「ギューッ」とくいしばっているクレンチングの3種類ありますが、寝ている時の噛みしめはクレンチングと呼ばれます。
このクレンチングがある方は、口蓋隆起・下顎隆起という骨の盛り上がりがありますので、ご自分でチェックしてみてください。
クレンチングがある場合は、下のようなスプリントという装置を装着しておやすみになっていただくと、顎関節の負担を減らすことができます。
※保険診療(3割の方)で6,000円~7,000円ほどの料金がかかります。
(レントゲン含む)
保険診療では「歯ぎしり防止装置」というものですが、歯ぎしりは止まりません。歯ぎしりによる歯のすり減りを軽減したり、顎関節を安静に保つことができます。
ギリギリと音がするグラインディングは逆流性食道炎の予防によいという報告もあります。
顎関節症は、日本顎関節症学会によって次の4つに分類されています。
咀嚼筋(そしゃくきん)は、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋の総称です。
閉口筋:
咬筋、側頭筋、外側翼突筋(上頭)、内側翼突筋
開口筋:
顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋、外側翼突筋(下頭)
この口を閉じたり・開けたりするための筋肉に痛みやコリなどの症状がある場合をいいます。
頭痛(筋緊張性頭痛)、顔面や目、耳、のど、歯、舌、首などの痛み、肩こり、また手のしびれなど様々な症状が生じます。
◎M(Myalgia)筋痛:クリックなし、咀嚼筋痛・開口時痛あり、二次性関節痛なし
◎MA(Myalgia+Arthralgia)筋痛+関節痛:クリックなし、咀嚼筋痛・開口時痛あり、二次性関節痛あり
顎関節を構成する軟組織が外傷を受けた場合、顎の関節部分に痛みが生じます。痛みは口の開閉時、咀嚼時、圧迫時に生じますが、何もしていないときでも鈍痛が起こる場合があります。
◎A(Arthralgia)関節痛:クリックなし、顎関節痛・開口時痛あり、二次性関節痛なし
◎AM(Arthralgia+Myalgia)関節痛+筋痛:クリックなし、顎関節痛・開口時痛あり、二次性関節痛あり
下顎頭の上に位置している関節円板が前方にずれてしまうと、雑音がしたり口が開きにくくなったりします。
顎を開け閉めした時に、「コリッ」「ポキッ」「カクッ」などの音(関節雑音・クリック音)がする事が特徴です(音がしない方もみえます)。
関節円板がずれている方は、本人が気がつかないだけで、人口の15%~32%程度存在するといわれております。
特に痛みなどの症状がない場合、治療対象とならないことがほとんどです。
◎CE(Early Click)クリック初期:一次性クリック初発から2週間未満
◎CO(Click Only)クリック単独:無痛の一次性クリック初発から2週間以上経過
◎CP(Click+Pain)クリック+疼痛:開口時痛を伴う一次性クリック初発から2週間以上経過
口が開こうとしても2cm程度しか口が開かなくなり、途中で引っかかってしまい、クローズドロックという状態になります。
◎IL(Intermittent Lock)間欠ロック:間欠的な開口障害
◎LE(Early Lock)間欠ロック:開口障害開始2週間未満
◎LC(Chronic Lock)間欠ロック:開口障害開始2週間以上経過
①皮質骨の断裂
②辺縁性増生
③吸収性変化を伴う下顎頭の縮小化
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