虫歯になりやすい体質は後天的に親(主として母親)から子供へ受け継がれていきます。
虫歯になりやすい個人になるかどうかは、幼児期にどんな菌を周囲の大人から受け継ぐかで決定されます。
虫歯菌のうち特にミュータンス菌は、歯が萌出するまでは口腔内に存在しません。
なぜなら、ミュータンス菌は歯の上でしか棲息できない細菌だからです。
生後19ヶ月から31ヶ月の間に萌出したばかりの歯の表面に現れて定着します。
これは周囲の大人の口腔からスプーンなどを介して幼児の口腔内に移植されて感染した結果です。
乳歯が生えそろった、4~8歳頃に虫歯になりやすい。
乳歯は永久歯と比べて歯がつくられる期間がはるかに短いため、永久歯と比較して、エナメル質表面の石灰化程度が低く、エナメル質や象牙質の厚さが約1/2程度と薄いうえ、有機成分が多く、結晶学的にもろいので、永久歯より虫歯になりやすく、進行が速いのが特徴です。
虫歯は4~8歳頃のほかには、10歳代後半~20歳代・60歳代後半~70歳代前半の時期になりやすいので、注意しましょう。
母親の口腔内にミュータンス連鎖球菌が高度に感染している場合には、その子供も高度にミュータンス連鎖球菌の感染を受けやすくなります。
このため、母親が妊娠前のできるだけ早い段階に虫歯の治療を受け、口腔衛生状態の改善をはかることをお勧めします。
さらには最新の虫歯予防方法である3DS(Dental Drug Delivery System)といった虫歯菌の除菌療法を行うことにより、母子感染が防げます。
Dental Drug Delivery System(テ゛ンタル・ト゛ラック゛・テ゛リハ゛リー・システム)
虫歯菌を除菌すると、虫歯になりにくくなります。
また、幼児期からのフッ素塗布やシーラントで虫歯を予防しましょう。
歯の表面のエナメル質を強化し、酸に溶けにくい強い歯をつくります。
そして、再石灰化の促進、虫歯菌の活動を抑制します。
奥歯のかみ合わせの溝をふさぐことで、虫歯の予防ができます。
欧州の研究では、お母さんの口の中をキレイにすることにより、お子さんのむし歯の数が減ったという報告があります。
また、妊婦の歯周病が原因で、未熟児や早産が起こりやすくなります。
歯周病はsilent diseaseとも呼ばれ、自分では気がつかないうちに徐々に進行してしまう生活習慣病の一つです。
歯肉炎のピークは10歳代後半~30歳代前半、歯周炎のピークは50~60歳です。
歯周疾患の既往している妊婦の早産・未熟児出産の確率は健常者と比較して7倍です 。
咬み合わせによって虫歯になりやすい場所が異なりますので、仕上げ磨きをする際の参考にしてください。
幼児期の反対咬合は大人になるにつれ自然に治ることもありますが、3歳で反対咬合だった子供は6%程度しか自然に治りません。
3歳児検診で反対咬合を指摘されたらお早目の受診をお勧めいたします。
指しゃぶりやおしゃぶりを長く続けていると、上顎前突(出っ歯)や開咬(前歯がかみ合わない)になる恐れがあります。
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