歯周病はsilent diseaseとも呼ばれ、自分では気がつかないうちに徐々に進行してしまう生活習慣病(成人病)の一つです。
歯ぐきだけ腫れている状態のプラーク性歯肉炎にはじまり、放っておくと歯を支えている骨が溶かされてしまう慢性歯周炎に進行してしまいます。
歯肉溝 3~5mm
歯周ポケット 2~6mm
磨き残しがあると、歯の周囲の歯ぐきが腫れてきます。
歯周ポケット 3~5mm
歯の周囲の歯ぐきの腫れが強くなり、歯を支えている骨が吸収し始めてきます。
歯周ポケット 4~7mm
歯を支えている骨がさらに吸収して、歯が動揺を始めます。
歯周ポケット 6mm以上
歯を支えている骨がさらに吸収して、歯が動揺を始めます。
歯周炎の進行は短時間に急速に歯周組織の破壊が進行する活動期と長期間にわたり破壊の進行しない非活動期(静止期)が間歇的に繰り返されます。
歯肉炎のピークは10歳代後半~30歳代前半、歯周炎のピークは50~60歳です。
対象となる歯がないヒトの割合は、60歳を過ぎると急速に増加していきます。
平成23年度歯科疾患実態調査より作図、年齢別の平均残存歯数を表しています。
1日あたりの喫煙本数と歯周病の関係
タバコを吸うとまず直撃されるのが口の中。
歯と歯ぐきにニコチンなどの有害物質が悪影響を与えます。体の抵抗力を弱めたり、末梢の血管を収縮させ、歯ぐきの血液循環を悪くしたりします。
また、タール(いわゆるヤニ)が歯にこびりつくと、歯磨きでは簡単に取れず、歯垢がつきやすい環境になってしまいます。
そのため、歯周病になやすく、治りにくくなります。
歯と歯ぐきのためにも全身のためにも、また、周囲の人のためにも、禁煙しましょう。
歯周病には世界初の歯周病治療器「ブルーラジカルP-01」による治療が効果的です。
歯本来の白さを取り戻すためには、プロによるPMTCにお任せください。歯を傷めずにたばこのヤニや、コーヒー、お茶の色素沈着が驚くほどきれいに除去できます。
歯ぐき(歯肉)は本来、濃淡の個人差はあるものの、薄いピンク色をしていますが、黒や茶褐色のシミや着色が見られることがあります。
これらを「メラニン色素沈着」といいます。
重篤な歯周疾患に罹患している患者は、心筋梗塞のリスクが高いことが明らかになっています。
歯周炎患者が心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクは、歯肉健常者の1.5~ 3 倍、冠状動脈疾患発症率は2倍です。
妊婦の歯周病が原因となり、未熟児や早産が起こりやすくなします。
歯周疾患の既往している妊婦の早産・未熟児出産の確率は健常者と比較して7倍です。
糖尿病患者は、統計的に歯周疾患を既往している率が高く、糖尿病併発症として歯周疾患は6番目に位置付けられています。
【血糖値】
①空腹時血糖値≧126mg/dL
②75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値≧200mg/dL
③随時血糖値≧200mg/dL
【HbA1c】
④HbA1c(NGSP)≧6.5%
糖尿病が歯周病を含めた感染症を悪化させることはよく知られていますが、歯周病も糖尿病を悪化させます。歯周病の治療・管理により1型・2型を含めた糖尿病患者では、歯周病の治療を行うことでHbA1cが平均0.4%改善するという報告もあります。
副院長は日本糖尿病協会 歯科医師登録医ですので、なんでも相談してください。
細菌性の呼吸器系感染症は、口腔内や気管の水分を肺に取り込むことで生じると考えられています。
これらの水分には細菌が含まれ、肺の中で増殖し、ダメージを与えます。
喉(のど)の細菌や口腔内の細菌が深部肺胞で検出されたとの報告もあります。
これにより誤嚥性肺炎を引き起こします。
正常な噛み合わせであれば、ものを噛む力(咬合力)を均等に分散し、歯への負担を極力軽減します。
もし噛み合わせが悪いと、一部の歯に力が集中し、それらの歯を支える歯槽骨や歯周組織を破壊してしまいます。
かみ合わせや、アゴを気にしてしまい、常に上下の歯をかみしめてしまったり、歯と歯を接触させる癖をTCHといいます。
「かみあわせの悪さ」は、顎関節症を引き起こすうえでそれほど影響がありません。
痛みをもって来院された顎関節症患者さんの70~80%の方がTCHを持っています。
また、TCHを直すことで顎関節症が早期に改善します。
口臭の最大の原因は、口の中が清潔でないことが引き起こす、虫歯や歯周病(歯槽膿漏)です。
歯周病の口臭は、歯肉から発生すると誤解されていますが、多くがは舌苔から発生します。
それぞれの人に合った間隔でのメインテナンスと日常の正しい口腔清掃です。
プロによる定期的なお口のメインテナンスを受けることで、歯やインプラントを長持ちさせることができます。
プロによるアドバイスを受けることで、ちょっとしたコツがつかめると、驚くほど上手に磨けるようになります。
妊娠期のホルモンバランスの変化により、エストロゲンやエストロラジオールの影響で、妊娠関連歯肉炎が発症します。
歯肉増殖症の原因となる薬物とその発症頻度:
フェニトイン(抗痙攣薬:てんかん)約50%
ニフェジピン(血管拡張:高血圧症、狭心症)約20%
シクロスポリン(免疫抑制:臓器移植、自己免疫疾患)約30%
一般に、歯肉増殖症は薬を服用して2~3か月後から兆候が現れ、歯と歯の間の歯肉が著しく肥大化します。
重度の症例では、盛り上がった歯肉が周囲の歯を覆ってしまい、歯が隠れたり、移動することもあります。
また、もともと歯肉に炎症があると発症しやすく、放置すると炎症がさらに広がって歯周病が進行する可能性も十分に考えられます。
治療は軽度の症例では、増殖部分を清潔に保つことで歯肉肥大が改善しますので、歯科衛生士に専門的な口腔清掃指導を受け、口腔ケアを励行することが重要です。
中等度以上の歯肉増殖症では、歯肉を切除する手術を行います。
術後の注意点は、薬を継続服用している人は、再発の可能性が考えられますので、再発を防ぐためには、口腔衛生状態を良好に保ち、プラークコントロールを徹底することが大切です。
思春期前から35歳までに永久歯列の数歯あるいは多数歯に発症し、アタッチメントレベルの低下と歯槽骨吸収の急速な進行を特徴とする疾患です。
風邪のような症状につづいて歯ぐきが赤くなり、潰瘍が生じます。潰瘍の幅は2~4mmで、ズキズキと痛んだり、触ると痛みが強く出血しやすい。歯が浮いた感じや歯を叩くと痛む。また口腔清掃状態は不良で、強い口臭を有することが多い。
1. プラーク性歯肉炎
歯肉辺縁に存在する細菌群によって発症する歯肉の炎症です。
臨床所見としては歯肉の発赤、浮腫、出血、疼痛、腫脹などがみられるます。
X線所見やアタッチメントレベルにおける支持組織の喪失はありません。
1)プラーク単独性歯肉炎
2)全身因子関連歯肉炎
① 萌出期関連歯肉炎
② 月経周期関連歯肉炎
③ 妊娠関連歯肉炎
④ 糖尿病関連歯肉炎
⑤ 白血病関連歯肉炎
⑥ その他の全身状態が関連する歯肉炎
3)栄養障害関連歯肉炎
① アスコルビン酸欠乏性歯肉炎
② その他の栄養不良が関連する歯肉炎
2. 非プラーク性歯肉病変
1)プラーク細菌以外の感染による歯肉病変
① 特殊な細菌感染によるもの
② ウイルス感染によるもの
③ 真菌感染によるもの
2)粘膜皮膚病変
① 扁平苔癬
② 類天疱瘡
③ 尋常性天疱瘡
④ エリトマトーデス
⑤ その他
3)アレルギー性歯肉病変
4)外傷性歯肉病変
3. 歯肉増殖
歯肉組織のコラーゲン線維の過剰増生による歯肉肥大です。
プラークコントロールを徹底化することで、症状の発現や再発をある程度防止
できます。
1)薬物性歯肉増殖症
原因となる薬物として、フェニトイン(抗痙攣薬)、ニフェジピン(降圧薬)、
シクロスポリンA(免疫抑制薬)があります。
2)遺伝性歯肉線維腫症
遺伝的に突発性に発現するものがあります。
辺縁歯肉、歯間乳頭、付着歯肉に及ぶ歯肉の増殖性の腫脹をきたす、ごくまれな
疾患です。
発症は乳幼児期で、上下顎の頬舌側に腫脹がみられる、抜歯後には消退します。
病因は不明です。
1. 慢性歯周炎
歯周病原細菌によって生じるアタッチメントロスおよび歯槽骨吸収を伴う慢性
炎症性疾患です。
歯周ポケット形成、排膿、出血、歯槽骨吸収および歯の動揺を認めます。
慢性に経過しますが、体調が悪いなど免疫力の低下した時に急性化します。
1)全身疾患関連歯周炎
① 白血病
② 糖尿病
③ 骨粗鬆症・骨減少症
④ AIDS
⑤ 後天性好中球減少症
⑥ その他
2)喫煙関連歯周炎
3)その他のリスクファクターが関連する歯周炎
2. 侵襲性歯周炎
3. 遺伝性疾患に伴う歯周炎
(歯周炎を随伴する遺伝疾患)
1)家族性周期性好中球減少症
2)Down症候群
3)白血球接着能不全症候群
4)Papillon-Lefévre症候群
5)Chédiak-Higashi症候群
6)組織球症候群
7)小児遺伝性無顆粒球症
8)グリコーゲン代謝疾患
9)Cohen症候群
10)Ehlers-Danlos症候群(III・VIII型)
11)低アルカリホスファターゼ血症
12)その他
1. 壊死性潰瘍性歯肉炎
2. 壊死性潰瘍性歯周炎
1. 歯肉膿瘍
2. 歯周膿瘍
1. 一時性咬合性外傷
2. 二次性咬合性外傷
※はいずれも限局型・広汎型に分けられます。
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