「あごが痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」の3つです。
このうち1つ以上の症状があり、鑑別診断で他の疾患がない病態を「顎関節症」といいます。
日本人の5~20%の方が痛みを伴う顎関節症で悩まれています。
顎関節は、下顎骨と上顎骨のジョイント部です。
上顎骨が頭蓋骨と一体化して固定されているのに対して、下顎骨は多くの筋肉によってつながれ、頭蓋骨にぶら下がっているといった感じです。
また、下顎骨はこれらの筋肉によって動かされています。
口を開けたり、ものを食べたりしているのは、上顎骨が動いているのではなくて、下顎骨が動いているのです。
そしてこれらの動きの起点となっているのが顎関節であり、その動きを円滑にしているのが関節円板なのです。
顎関節症はさまざまな原因で、この顎関節が偏位したり、適正な場所から移動したりすると、関節円板が損傷したり顎関節自体が変形したりします。
そうなると口が開かなくなったり、口を開けるたびに痛みが生じたりします。
関節円板転位は顎関節症の方の77~86.2%に見られますが、健常者でも33~35%の方に見られます。
また、最近では全身疾患への影響も指摘されています。
1. 関節結節
2. 後関節突起
3. 関節包
4. 関節円板
5. 上関節腔
6. 下関節腔
7. 外側翼突筋
8. 下顎頭
9. 下顎窩
顎関節の不調は、顎の運動をつかさどる筋肉などにも緊張を与え、頭蓋骨(特に側頭骨)をも変形させる場合があります。
また、これらの結果、神経の伝達にも障害を与え不定愁訴の原因になっているという報告もあります。
「かみあわせの悪さ」は、顎関節症を引き起こすうえでそれほど影響がありません。
最新の報告では、1日の中で上下の歯が接触する時間は17.5分とされています。
そして、1日に20分以上、上下の歯を接触させてしまう癖をTCHといいます。
痛みをもって来院された顎関節症患者さんの70~80%の方がTCHを持っています。
また、TCHを直すことで顎関節症が早期に改善します。
※顎関節症の治療はTCHの是正のみではありません。
一般社団法人 日本顎関節学会より科学的な根拠をもって示されている「顎関節症患者のための初期治療ガイドライン」において「歯科医療分野においては、顎関節症の症状改善や根本治療をうたって、十分な説明もなくかみ合わせを修正する治療など、症状を悪化させるリスクのある治療が行われる傾向にあります。」と記載があります。
もちろん食事のときに食べにくいほど咬み合わせが悪ければ十分な説明の後に、咬み合わせの改善が必要になります。
副院長の山口逹雄は「次世代の顎関節治療を考える会」の日本顎関節学会 理事で顎関節症治療の第一人者であり、TCHの提唱者である東京医科歯科大学 歯学部 顎関節治療部部長 木野孔司准教授の定年退職前の最終講義(2014年11月30日)を受講した数少ない歯科医師の一人です。
そのため高額で症状を悪化させるリスクのある咬み合わせの治療を必要としない最新の顎関節症治療を習得しております。
また、保険診療で対応しておりますので、ご安心ください。
※最近、顎でお困りの方が非常に多く、予約なしでの診察が困難になっております。
必ず事前にお電話で予約をお願いいたします。
顎関節症は、日本顎関節症学会によって次の4つに分類されています。
咀嚼筋(そしゃくきん)は、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋の総称です。
閉口筋:
咬筋、側頭筋、外側翼突筋(上頭)、内側翼突筋
開口筋:
顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋、外側翼突筋(下頭)
この口を閉じたり・開けたりするための筋肉に痛みやコリなどの症状がある場合をいいます。
頭痛(筋緊張性頭痛)、顔面や目、耳、のど、歯、舌、首などの痛み、肩こり、また手のしびれなど様々な症状が生じます。
◎M(Myalgia)筋痛:クリックなし、咀嚼筋痛・開口時痛あり、二次性関節痛なし
◎MA(Myalgia+Arthralgia)筋痛+関節痛:クリックなし、咀嚼筋痛・開口時痛あり、二次性関節痛あり
顎関節を構成する軟組織が外傷を受けた場合、顎の関節部分に痛みが生じます。痛みは口の開閉時、咀嚼時、圧迫時に生じますが、何もしていないときでも鈍痛が起こる場合があります。
◎A(Arthralgia)関節痛:クリックなし、顎関節痛・開口時痛あり、二次性関節痛なし
◎AM(Arthralgia+Myalgia)関節痛+筋痛:クリックなし、顎関節痛・開口時痛あり、二次性関節痛あり
下顎頭の上に位置している関節円板が前方にずれてしまうと、雑音がしたり口が開きにくくなったりします。
顎を開け閉めした時に、「コリッ」「ポキッ」「カクッ」などの音(関節雑音・クリック音)がする事が特徴です(音がしない方もみえます)。
関節円板がずれている方は、本人が気がつかないだけで、人口の15%~32%程度存在するといわれております。
特に痛みなどの症状がない場合、治療対象とならないことがほとんどです。
◎CE(Early Click)クリック初期:一次性クリック初発から2週間未満
◎CO(Click Only)クリック単独:無痛の一次性クリック初発から2週間以上経過
◎CP(Click+Pain)クリック+疼痛:開口時痛を伴う一次性クリック初発から2週間以上経過
口が開こうとしても2cm程度しか口が開かなくなり、途中で引っかかってしまい、クローズドロックという状態になります。
◎IL(Intermittent Lock)間欠ロック:間欠的な開口障害
◎LE(Early Lock)ロック初期:開口障害開始2週間未満
◎LC(Chronic Lock)慢性ロック:開口障害開始2週間以上経過
①皮質骨の断裂
②辺縁性増生
③吸収性変化を伴う下顎頭の縮小化
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