科研製薬、歯周組織欠損部への塗布で効果
科研製薬は、歯周炎治療に使う再生医療医薬品の歯周組織再生剤「KCB-1D」(一般名・トラフェルミン 遺伝子組み換え)の製造販売承認申請を行った。国内には歯周組織の再生を効能とする医療用医薬品はなく、同剤は初めての歯周組織再生剤となることが期待される。また、同社はこれにより歯科領域に進出することになる。
同剤は、組み換え型ヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を有効成分とする歯科用薬剤。bFGFは生体内に存在し細胞の増殖や分化の調節を行っているタンパク質で、皮膚、血管、骨、軟骨といった組織の形成に強く関与している細胞成長因子の一つ。細胞の増殖や血管新生作用を持つ。進行した歯周炎で歯周組織の破壊を阻止するために「フラップ手術」と呼ばれる外科手術が実施される際、歯周組織欠損部へ塗布することで歯槽骨などの歯周組織を再生させる。
ヒトbFGFを用いた医薬品としては、01年に褥瘡・皮膚潰瘍治療剤「フィブラストスプレー」を商品化しているが、今回はこれに続く製品。歯科領域という新たな分野だけに、今後は販売面でのビジネススキーム作りが課題となる。提携先企業の選定、交渉などを進めていく見込み。海外についてはサンスターに導出している。