生後6カ月まで母乳だけで育てると、歯のかみ合わせが悪くなる可能性が低くなると分かった。
オーストラリアのアデレード大学の研究グループが、米国小児科学会の発行するペディアトリクスのオンライン版で、2015年6月15日に報告した。
歯並びと授乳の関係調べる
子どもの歯並びと授乳の仕方との関係を、1300人の5歳児を対象として調査した。
歯並びについては、いくつかのタイプの異常が確認された。
上の歯と下の歯が離れる「離開咬合」、下の歯が前に出て受け口になる「反対咬合」、上の歯が過剰に前に出てくる出っ歯になる「上歯突出」のほか、中程度もしくは深刻に上の歯と下の歯が合わない「不正咬合」がチェックされた。
母乳の与え方については、誕生時、生後3カ月、12カ月、24カ月時点で記録された。
不正咬合が3分の1以下に
結果として、授乳の方法が母乳であると歯並びの悪さを防ぐことができる結果になった。
まず、主に母乳だった場合には、離開咬合、上歯突出、不正咬合が少なかった。母乳だけである場合には、上歯突出と反対咬合が少なかった。
さらに、離開咬合では、生後3カ月~5.9カ月まで母乳だけだった場合には33%低く、6カ月まで母乳だけだった場合には44%低かった。
不正咬合は3カ月〜5.9カ月まで母乳だけだった場合には41%低く、6カ月まで母乳だけだった場合には72%低かった。
おしゃぶりで効果少なく
いずれの場合にも、おしゃぶりを使用すると、それほどの効果は上げられなかった。
子どもの病気と障害を予防するため、生後6カ月まで母乳だけで授乳することが推奨されているが、かみ合わせの異常を防ぐためにも生後6カ月までは母乳だけで授乳することが推奨される。
母乳をめぐっては6カ月以上続けると白血病が減るという報告があった(6カ月以上の授乳で小児白血病が減る、有力医学誌で報告を参照)。利益はさまざまあるようだ。