アルツハイマー、歯周病で悪化 マウス実験で判明

名古屋市大大学院チーム 共同通信社 6月1日 配信  名古屋市立大大学院の道川誠教授(生化学)らの研究チームが、歯周病が認知症の一種、アルツハイマー病を悪化させることをマウスの実験で明らかにし、1日までに日本歯周病学会で発表した。

道川教授によると、これまで歯周病とアルツハイマー病の関係は科学的に研究されておらず、「歯周病治療で、認知症の進行を遅らせられる可能性が出てきた」としている。

同大学院と国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)、愛知学院大(同県日進市)の研究チームは、人工的にアルツハイマー病に罹患(りかん)させたマウスを用意。
2グループに分けて、一方だけを歯周病菌に感染させた。

これらのマウスを箱に入れて球や三角すいの物体を2つ見せた後、うち1つを置き換えて反応を調べると、歯周病のないマウスは新しく置いた物体へ頻繁に近づくが、歯周病を併発したマウスは反応が変わらなかった。
道川教授によると、認知機能が低下し、最初に見た物体の形を忘れているため、新しい物体に興味を示さなかったという。

実験後にマウスの脳を調べると、歯周病菌に感染してからの約4カ月間で、記憶をつかさどる海馬にアルツハイマー病の原因となるタンパク質が沈着し、歯周病のマウスの方が面積で約2.5倍、量で約1.5倍に増加していた。