出産回数の多い女性は将来、残る歯が少なくなりやすいことが、東京医科歯科大の植野正之准教授(健康推進歯学)と国立がん研究センターなどの共同研究でわかった。
妊娠中はホルモンバランスが変化して虫歯などになりやすい上、治療を避ける傾向があるためらしい。
1990年に秋田県の40~59歳の男女に健康状態や生活習慣を尋ね、15年後の2005年に歯科検診を受けてもらった。
1211人(男性562人、女性649人)について、親知らずを除く永久歯28本のうち何本残っているかを、年齢や喫煙経験、甘い物好きかといった食習慣の影響を取り除いて調べた。
その結果、出産回数0回の女性は18・6本の歯が残っていた。
しかし、出産回数2回で18・3本に減り、3回では16・4本だった。
4回以上だと15・6本となり、0回の人に比べて約3本少なかった。
上下でかみ合っている奥歯の数も出産回数が増えると減った。
男性について子どもの数で同様に分析したが、歯の数との関連はなかった。
植野さんによると、妊娠中の女性はホルモンや口の中の細菌のバランスが変化して免疫力が落ち、虫歯や歯周病になりやすい。
つわりの影響などで歯磨きがおろそかになり、治療も避ける傾向があるという。
植野さんは「きちんとケアをすれば、歯を失うリスクを減らせる。
妊娠中でも、一般的な歯科治療は問題もない。
積極的に歯の病気の予防に取り組んでほしい」と話している。
朝日新聞 2014年5月1日(木)