BRONJは集学的治療が鍵 【米国疼痛医学会】 歯科医やリハ医の協力がBRONJの転帰を改善

 米国疼痛医学会(AAPM)は、ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)の診断を受けた58歳の女性において、副木の使用、理学療法、およびビスホスホネートの投与中止を組み合わせた集学的な治療計画により、非常に良好な患者転帰がもたらされたという症例研究の結果を紹介した。
この研究では、先進的な画像技術の有効性と、良好な患者転帰(疼痛の90%低減、機能の改善および画像所見の正常化を含む)のための集学的協力に焦点が絞られた。

 疼痛の潜在的原因としてのBRONJは、十分に認識されていない。
さらに、BRONJは他の疾患(後頭神経痛など)に類似した症状を引き起こすため、先進的な画像技術を用いなければ見逃される可能性がある。
早期診断と適切な管理が行われれば、身体機能の障害につながり得る影響の発生頻度や重症度を低減することができる。

 今回の症例研究の対象となった患者は、初期臨床症状として頭頚部および顔面の疼痛を訴えていた。
この患者は、骨量減少に対する治療としてビスホスホネート製剤を投与されていた。
骨質が悪かったため、関節置換術は適応とならなかった。
集学的治療の結果、10段階のビジュアル・アナログ・スケールで8と評価されていた疼痛は、0および1にまで軽減され、骨もより正常な状態に回復していた。

 こうした集学的治療では、診断や患者管理戦略(副木の使用、口腔感染の管理、他の医療従事者間における調整など)において、歯科医が重要な役割を担う。
また、基礎疾患の管理のための投薬については医師が、筋骨格系のリハビリテーションのコーディネートについてはリハビリテーション医が必要となる。
人口の高齢化に伴って、骨粗鬆症に対しビスホスホネート製剤投与を受ける患者数が増加していくと予想されるなか、BRONJの早期診断と先進的治療に対する意識の向上が望まれる。