関節リウマチ/歯周病の治療で症状が改善
〔米オハイオ州クリーブランド〕ケースウェスタンリザーブ大学歯学部(クリーブランド)歯周病学のNabil Bissada教授らは,活動性の関節リウマチ(RA)患者において歯周病を治療すると、抗腫瘍壊死因子(TNF)α治療の有無にかかわらずRAの症状が著明に改善したとJournal of Periodontology(2009; 80: 535-540)に発表しました。
同大学歯学部長でもあるBissada教授らによると、この2つの疾患の関連性は以前から指摘されていました。しかし、共同研究者で同大学病院リウマチ科のAli Askari部長は「リウマチ専門医や他の臨床医は、歯周病が全身性疾患の原因として大きな役割を果たしているかもしれないという"神話"にとまどいを見せているようだ」と述べています。
Bissada教授らは今回の研究で、重度の歯周病も併発している中等度あるいは重度RA患者40例を対象に検討を行いました。被験者は、(1)非外科的治療と口腔衛生の指導を行う歯周病治療群(20例)(2)歯周病治療を行わない歯周病未治療群(20例)―にランダムに割り付けられました。
なお、全例が抗RA薬による治療を受けており、20例ではランダム化前から抗TNFα製剤が使用されていました。
その結果、6週間後、歯周病治療群では、ベースライン時と比べ疾患活動スコア(DAS28)と赤血球沈降速度(P<0.001)、および血清中のTNFα値(P<0.05)が有意に低下しました。一方、歯周病未治療群ではこのような変化は認められませんでした。
また、歯周病治療群では抗TNFα治療によってアタッチメントロス(CAL)、プロービング時の出血(BOP)、gingival index(GI)、歯周病ポケットの深さ(PD)が改善したが、歯周病未治療群では有意な改善は認められませんでした。
今回の結果を受けて同教授らは「RA患者の歯周病を治療すると、疼痛、腫脹関節数、朝のこわばりなどが軽減されることがわかりました。これは新しい治療介入と言える」と結論しています。